ライブ配信を楽しむ方が増えてきたこの頃、簡易ビデオミキサーであるATEM Mini Proが大人気となり、品薄となっていたのは記憶に新しいですが、
そんな中販売元のBlack Magic Designが新型をいきなり発表しましたね。
その名も「ATEM Mini Pro ISO」
僕も気になっていたので、予約注文して手に入れてみました。
楽天でおよそ¥110,000で販売していましたが、お買い物マラソンキャンペーンとポイントステータスを利用して12%分のポイントをゲット。
実質¥100,000ほどで手に入れることができました。
このATEMバブル、需要は当分尽きることはないので、値崩れもあまり無いと思われます。
いらなくなったり新型が出たら売ったらいいんですよね。1年経っても8万くらいにはなるでしょう。
ともあれ前作のATEM Mini Proは4月に発表したばかりなので、ものすごくハイペースに新作を出してくる同社ですが、
新型のISOでは、業界を揺るがす新機能が搭載され、革命的とも言われています。
ですがATEMシリーズはこの複雑な見た目のため、初心者には一見少しわかりにくいですよね、、!
今回はATEMデビューの方にもむけて、わかりにくい言葉をできるだけ使わず、初心者でもすぐに使えるように新機能を解説していきたいと思います!
まずはATEM Mini Proの機能をおさらい
従来からのATEM Miniシリーズとは一言でまとめると、
「ライブ配信向けビデオミキサー」というのが僕の見解なんですが、もう少し噛み砕くと
「一眼カメラやビデオカメラ、もしくはスライドPCを複数台使って画面を切り替えながらパソコンに直接繋いでライブ配信ができる」という機材です。
本来最も簡単に配信をするなら、テレビ電話と一緒でUSB接続のWebカメラを使えば一番簡単なんですが、
一眼レフカメラやビデオカメラを使って高品質な映像で配信したい場合や、
複数のカメラやスライドPCを組み合わせて、テレビ放送のように様々な角度から撮って、バラエティなコンテンツを見せたいという方に必要なアイテムなのです。
今回発売されたATEM Mini Pro ISOは前作のATEM Mini Proの機能が全て踏襲されているため、まずは従来と共通する機能を紹介します。
特徴1:カメラ/コンピューターを4台まで接続可能
マルチカメラやPC含めて4台もアングル必要?と思われる方は多いかもしれませんが、
冷静に数えてみると、ライブ配信のためには案外それくらいの数が必要なケースが多いです。
・メインカメラ
・Webサイトや資料の紹介用PC出力
・商品紹介や作業系動画なら手元のアップ
これだけならすでに3つ必要です。
例えば2人のスピーカーで撮影する場合、メインカメラとスピーカーそれぞれのカメラ、あとは俯瞰で二人を撮ったりすると遊びアングルとして面白く、
のちの編集で助かったりするので、トータル4カメのアイデアとしては決して稀なことではありません。
それ以上にまずマルチカメラを導入する理由として「赤の他人が語る動画を、1カメで見続けることの辛さ」という心理があります。
中学高校の数学の時間を思い出してください。
強制的に好きでもない教師や黒板に書かれてある数式の数々を、1視点で1時間近く見続けないといけない気持ち。
「あ〜〜こんな時に僕の斜め後ろに座ってる学年イチかわいいあの子に視界が切り替わったらなぁ」
なんてみんな思ったことあるはずですよね(?)
もし面白くもない授業を見なくていいなら、授業開始5秒で他の景色見ますよね。
人気者でもイケメンでも美人でも何者でもなく、チャンネル開設まもない頃であれば、
いかにビジュアル的なデザインを工夫して視聴者の意識を掴んでおくか、話はこれにつきます。
我々は幼い頃からテレビで「シーンが変わる」という表現が刷り込まれているため、1視点を見続けるのは苦手なのです。
容姿端麗もしくは強烈な話術のテクニックさえあれば、アングル切り替えなんかなくても視聴者は釘付けになると思いますが、
ほとんどのチャンネルの場合はこのような技術で離脱率のカバーをすることをお勧めします。
個人的な見解ですが、マルチカメラを選ぶ際には「2台」という選択肢はナンセンスかと思っています。
なるべく3台以上です。
なぜなら2台だと切り替えパターンがA⇄Bの往復のみとなり、マルチカメラと称していても単調な印象にしかならないからです。いっそ割り切って1台で撮影する方が経済的メリットが勝ります。
3台の切り替えパターンは一気に増えて6通り、4台なら12通りとなるため、マルチアングルに踏み切る意味が生まれます。
特徴2:接続カメラはUSBでウェブカメラとしてパソコンで認識
ちょっと勘の良い人なら「ビデオカメラってUSB端子ついてるからパソコンに直接挿せばええやん」と思うでしょうが、
そう簡単にうまくさせてくれないのがこの業界の悪いところです。
結論から言うとそれでは全く映りません。理由とか細かいことは割愛しますが、
嘘ですちょっとだけ言いたいです。
「Usb Video Class Driver」
このプログラムなりモジュールがカメラ側に搭載されてないことが多いからですね。最
近はPC側で仮想的に動かすソフトや、カメラ側に搭載されるケースが増えてきました。
SONYのソフトImaging Edgeなどがそうですね。
要するに一般的にはATEM Mini Proのような機材、ひいては「ビデオキャプチャ」と呼ばれる機械をカメラとPCの間にかませば、
カメラの画像をUSBのWebカメラとしてPCがやっとこさ認識してくれます。
ビデオキャプチャ単体でも2〜3万円前後の相場なのに、ビデオミキサーその他各種美味しい機能が満載のATEM Mini Proが8万円前後で買えるって、めっちゃお得じゃないですか?
特徴3:HDMI入力は全てカメラのフォーマットを自動変換
これの機能はね、なかなか嬉しいですよ。
いや、気が変わりました。控えめに申し上げても最高ですね。
そもそもフォーマットって何〜?って話なんですけど、
要するに
・解像度
・フレームレート
・走査方式(i か p)
これらの組み合わせによるカメラから機材への入力信号のことです。
走査方式の説明はプログレッシブかインターレースか2種類あってちょっと難しい仕組みですけど、
要するにモニター上で画像を表示させる違いです。
僕が説明するよりこちらのサイトにある説明が遥かにわかりやすいので紹介しておきます。
例えば
1920×1080 29.97pといった具合のフォーマットが一般的ですね。
ちょっと良いカメラになると
1920×1080 60pとかが出せます。
最近のカメラでは標準になってきたUHDは
3,840×2,160 30pというフォーマットが多いですね。
映画規格だと4096×2160 24pって感じでしょうか。
こんな感じでカメラから送られる信号って機種や状況によって様々なんですが、
普通ミキサーって1種類の入力フォーマットしか一度に受け付けられなくて、例えばミキサー側で「1080 30i」に決めても、カメラ側でその出力モードを自由に切り替えられなかったりするんですよ。
特にフレームレートと走査方式の組み合わせは、全ての機材がマッチしないことが多い。
プログレッシブは出せないパソコンとか、60pで出したいのにサブカメラが30pまでしか対応できなかったり。
一般的にカメラ2台以上持ってること自体少ないのに、ましてや同じ種類のカメラで揃えてる人って相当レアケースな訳です。
機種や発売時期が変われば、対応するフォーマットも変わって行くのは当然なので仕方ないと思ってました。
そんな悩みを一気に解決してくれるのが、ATEM Mini Proのマルチフォーマット対応機能なんですね〜。
1080までのフォーマットなら1080 29.97p だろうが1080 30iだろうが、720 60pだろうが強引に認識してくれるわけです。
ATEM Production Studioの上位機種ならマルチフォーマットに対応してたんですが、miniでも対応できるようになったのは嬉しいです。
以下公式のフォーマット対応表です。全部オッケー
特徴4:専用のソフトウェアで全カメラのモニタリングが可能
Webサイトから専用のユーティリティーをダウンロードして、PCからスイッチングが可能です。
HDMI OUTからは監視カメラのように全ての入力機器が確認できます。
俯瞰で全部のカメラを見渡してる感じが、結構楽しいところでもあったりします。
特徴5:USB接続でHDD/SSDに収録を保存できる
これも地味に嬉しいポイントです。
ただ今回最新のISOで録画機能が搭載されたことにより、パソコンの中に自動保存できるようになったので恩恵は薄くなりましたが、
YouTubeのアーカイブのようにエンコードされて画質が落ちたミックス後の動画ではなく、
生のデータで保存すぐに手に入るのは、特に長時間収録ですぐにエディターに動画を送信した場合などで便利かもしれません。
特徴6:ATEM Advanced Chroma Keyでグリーンバックでの合成撮影ができる
クロマキー合成がこんなにも身近な時代になるとは思いませんでした。
専用のSoftware Controlソフトから簡単に合成シーンを作ることができます。
BMDのクロマキー合成プログラムはかなり優秀です。
それをリアルタイムで配信に配信できるとは恐れ入ります。
特徴7:EQやリミッターなど様々なエフェクトに対応したオーディオミキサー
7番目の特徴にしてこれも最高なうちの一つ。One of Best.
音声のリアルタイム処理って、普通はラックエフェクターとか大型ミキサーでかけてるイメージがあります。
レイテンシーがなるべく出ないように、強力なエンジンで処理してまた再送信する。
OBSにもVSTプラグインがあるのでそれはそれで楽しいですが、
ミキサーの中で使えるのは相性的にも安心なところ。
イコライザーとかコンプレッサーなんて音響をやる上では絶対に欲しいエフェクトですよね〜。
なんてったってUIが最適化されている。直感的にさわれて楽しい。
特徴8:タイトルやオープニングのテンプレートがある
メディアプールこれも便利ですね〜。ABCのニュース番組みたいになっちゃった。
自分が作った定番の透過素材とか専用フレームとかローワーサードみたいな見出しも保存しておけます。
ドラッグ&ドロップですぐに運用できるのも魅力。
同梱のPhotoshopプラグインを使えば、グラフィックをPhotoshopからスイッチャーへ直接送信できます。
Photoshopで随時カスタムしながらATEMに送るといった、高度なチームで使える技ですね。
特徴9:ソフト上での本格的な画面切り替えエフェクト
Software Control上では画面を切り替える際の様々な特殊効果「トランジション」という設定を幅広くコントロールできます。
画面を切り替える時にフェードインさせたり、そのタイミングも細かく設定できます。
またワイプといった特定の形状を元に切り替わったり、DVEというスタイルでは、どの方角にワイプを押し込んで画面を切り替えるかなど
非常に多彩な方法でアプローチできます。
視聴者を飽きさせないスイッチング最大の醍醐味は、このトランジションにあるといっても過言ではありません。
ATEM Mini Pro ISOから追加された機能
これだけATEM Mini Proが盛り沢山のセールスポイントを持っていながら、
それに加えてATEM Mini Pro ISOはさらに革命的とも言える機能を搭載してきました。
各入力を個別のISOファイルとして収録し、同時にDaVinci Resolveプロジェクトファイルを保存する
この機能をこの価格帯で搭載してきたことがまさに革命です。
収録した後はは全ての入力ソースがmp4で個別に保存されているんです。
さらにDaVinci Resolveプロジェクトファイルも同時に収録するため、ワンクリックでビデオ編集として開くことが可能です。
Davinciの画面ではすでにスイッチングポイントの編集点ごとに撮影したクリップが並んでおり、その一つ一つはもう一度長さを変えられるというから驚きです。
オリジナルのファイルがリンクされているから当然といえば当然なんですけど、改めてこれだけスムーズに導かれると感動すら覚えます。
これまで一般的にはスイッチングしながら生で配信した動画の編集点は、当然やり直しが効かないというのが常識でしたが、
この機能を使えば、生配信では不適だったカメラワークも、好みのタイミングに切り替えることができます。
事故がつきものの生配信で、編集ありきの運用をするならこの保存機能は驚異的といえます。
マジですごい。
このようにATEM Mini Pro ISOでは従来の機種をしのぐとんでもない機能が搭載されていることがわかります。
ただでさえ品切れ続出だったのに、さらに人気を重ねていくこのBlack Magic Designというメーカー。
あまり耳慣れないメーカーだとは思いますが、僕なんかは10年前から様々な放送機器を買わせてもらってます。
今後この機種の使い方なども紹介していきますので、皆さんも購入を検討されてはいかがでしょうか!
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